豊洲市場、異常な行列は減ってきました

豊洲市場の飲食店街は最近やっと落ち着いてきたみたいです。10月の移転直後は観光客が押し寄せ、大混雑。お目当ての店がダメだから「きょうは別の店にするか」といった選択肢すらないほど、どの店にも長蛇の列ができていました。でも、移転から1カ月が過ぎ、いまは一部の超人気店を除けば、長い行列はありません。適度な混み具合ならば、ストレスを感じることなく、街歩きも楽しめるでしょう。

豊洲市場は旧築地市場から東南方向に3キロほど移動した場所にあります。築地からは、このほど暫定開通した道路「環2」を通り、クルマで約5分ほど。途中の信号はオリンピック選手村建設予定地の交差点しかないので、渋滞がなければ、すぐに到着です。この距離感ならば、築地場外市場を散策した人が「気分を変えて、ふらりと豊洲市場に行ってみようかな」とタクシー(料金は1200円ほど)で移動するのもありかもしれません。

築地市場にあった「魚がし横丁」は飲食・物販店が軒を連ねる昭和な雰囲気の商店街でしたが、豊洲への移転に伴い、「解体」されてしまいました。豊洲市場にある「魚がし横丁」は物販中心。寿司、海鮮丼、喫茶などの飲食店は分離され、しかも市場内の3カ所に分散されています。

f:id:engage-man:20181111124929p:plain

3カ所の飲食店街のうち、メインと位置付けられるのが、6街区の水産仲卸売場棟です。築地の魚河岸で最長の行列を誇った人気店「寿司大」、築地1号店で有名だった牛丼の「吉野家」、築地時代からの老舗インドカレー「中栄」などが集積しています。有名店がそろっているエリアだけに、移転直後、仲卸売場棟の3階フロアは身動きもままならぬほどの混雑ぶりでした。

移転から1カ月ほどが経過した現在、喫茶店の「岩田」、「センリ軒」の前に行列はなし。1万円のおまかせコースのみで勝負することになった和食「高はし」も行列なし。昼前に受付終了となっている「寿司大」にも、築地時代のような行列はありません。老舗の「鮨文」、海鮮丼の「仲家」といった人気店には行列ができていますが、それでも移転直後ほどではない印象です。

これは7街区の管理施設棟も同じ。寿司店の「やまざき」「市場すし」「龍」などは、いずれも行列なしでした。「やまざき」は築地市場の時代に喫茶店から寿司に参入したチャレンジ店。ただ、当時は行列店の双璧だった「大和」と「大」の間に挟まれた立地がなんとも気の毒な印象でした。いまは施設管理棟のエントランスからは最も近い好立地を確保しているので、7街区の寿司店の筆頭格を狙えそうです。

f:id:engage-man:20181111124030p:plain

5街区の青果棟の顔といえば、やはり「大和」。屈指の人気を誇る寿司店です。メインとされる仲卸売場棟の飲食街から離れた場所に立地することになり、集客に苦戦するとの見方があったようですが、入店を待つ人々の群れを見る限りは心配なさそうです。路面店になっていて、屋外に行列ができる風景は旧築地市場の時代から変わりません。大和の特徴はガツンとくる大ぶりな鮨ネタ。銀座で出てきそうな端正な鮨とは異なる魚河岸の鮨としての魅力は豊洲市場に移っても変わらないでしょう。

3カ所に分散した飲食街の混雑は緩和されてきたとはいえ、混雑状況は時間帯によって異なるはず。ランチタイムのど真ん中ならば、やはり、それなりの行列は覚悟する必要があるでしょうし、年末になれば、状況は変わると思います。築地市場の時代も年末は通常の3割増しぐらいの混雑を覚悟する必要がありました。さて、今年の師走はどうなるのか、ちょっと気がかりです。